第6章 とんでもないサポーターがいるもんだ!

5日目。ブーメランは、ここからは寄り道もせず、たぶんショートカットもせず、スタート地点の白馬駅目指します。

この日は1時半起床。やっぱり早起き!(笑)雪渓の水を補給し、2時過ぎには歩き出した。周りのテントもすでに起きていそうな人もいたが、ライトの灯りやしゃべり声、ポールの音など、最新の注意をはらいながら静かにスタートした。本日のメインディシュは以前に歩いた際も大変だった南沢岳から船窪岳の間になるだろう。

まだ暗いうちに日本百名山の鷲羽岳に到着。本当は明るいときに来たかったが、この先の行程を考えると、この時間になります。

鷲羽岳2924m
あれ?将悟さん寝てます???
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ここからのルートは裏銀座の本当に気持ちよい、ルートが続くのでそれはそれですごく楽しみ!

水晶小屋のあたりで明るくなり始めて、野口五郎岳手前のコルでご来光。アルファ米にふりかけをかけてモーニングをいただく。将悟さんオススメメニュー。白米にふりかけ。僕はさらにさんまの缶詰をダンク。うますぎる。雲海の中この食事は贅沢すぎる。ここからはこの旅一番の快適なトレイルが我々を待っています。岩じゃなくて、花崗岩の砂地のゆるいアップダウンのトレイルが続く。これは気持ちよすぎて眠くなってしまいそう。周りにはコマクサや高山植物がかわいく咲いている。これまで通過してきた立山、薬師、槍、、、、山々がよく見える。完璧な癒し空間ですな。平和です。ここのルートはとても気持ちいいので高校山岳部を率いていた時に、毎年学生たちを連れてきていたエリアだ。

ふりかけさんまごはん
(自撮り)

烏帽子小屋のあたりまではとても気持ちよく進めます。烏帽子岳もかっこいいんですが、今回はガスに包まれて、見えず。残念。メインルートから少し逸れるのですが、また天気のいいときに行けばいいね、ということでスルー。烏帽子の湿原地帯を抜けて一路南沢岳を目指します。

これこれ!
どこまででも行けそうな気持ちよいトレイル
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

烏帽子小屋を過ぎると、それまでの快適なルートとは違い、人があまり歩いていない感じになります。ルートを間違えないように注意が必要です。その途中、猿の群れに出会ったりしました。猿の群れはとても危険です。時に食料目当てに襲ってくることもあるとのことです。僕は襲われたことないけど、自宅の前に来た猿を追っ払うために威嚇したら、逆に威嚇され返されたりして、けんかになりそうでした(汗)。また、天然記念物の雷鳥も食べられている姿が確認されたりしています。僕はそんな場所は、いつも「ホー、ホー」と声を出しながら歩いています。なんか変なの来たぞ、みたいに思わせて、近寄らせない作戦です。

烏帽子の湿原
のんびりお弁当でも食べたいですな~
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いよいよ南沢岳。七倉岳までがんばるぞ~。そうするとそこにはこの旅、3度目のサポートがいて、補給物資をあの人から受け取ることができる。南沢岳からは想像通りのルートでした。草はボーボー、右側は崖、ところどころものすごい急斜面、猿の糞、ボーボーの草は露でビショビショ、完全に洗車機の中に入っていく車のように、僕たちは首から下、靴までずぶぬれ状態。こうなると逆に燃えてきますね。燃えすぎて写真はほぼ撮ってません。動画は回してありますのでいつかお披露目できるかな??景色は相変わらず素晴らしいですよ。

終盤の船窪岳付近
荒れている中でも、整備してくれてあります
ありがとうございます
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

船窪岳まで南沢岳から3時間ほどかかり、いよいよ七倉岳へ。当初サポートを船窪小屋でお願いしていたのだけど、直接北上したかったので、急遽電話して、七倉岳山頂へ変更。どうもサポートのA店長さんは船窪小屋に腰を据えて、おばちゃんからお茶とか出してもらっていたらしく、珍しく、「ここじゃだめ?」という風に切り返してきた(笑)。でも優しいAは店をしまいすぐに七倉岳へ。僕たちも早く会いたくて七倉へ急いだ。

フルマークス白馬あんぱん店長。この男が今回のサポート隊長。(隊員はいないが・・・)誰にも言われていないのにいろいろと自分から動ける男。確か昨年は、日本海の海水をすくい、フルマークスが経営する白馬の「焼肉深山」まで約65㎞ほど走って肉につける塩を勝手に運んでいたな。確か、誰もやってほしいとは言っていなかったはず。でも周りで見ている人は彼のそれに楽しまさせてもらっているわけですよ。いわばエンターテイナーとでもいいましょうか。

糸魚川の海水を採取
ところどころで小谷のマウントケアのムティーによる念入りなマッサージ
ムティーがいなかったら厳しかったでしょうね~
塩握りしめて塩の道を、一路白馬へ
このあと無事に深山でいい塩加減の肉いただきました

ちょっと脱線しました。上の三枚の写真は2020年のものです。今回のサポートもきっと、だれにも言われていないけど、何かやってくるという期待も持ちつつ、12時頃七倉山頂で顔合わせ。すると、いきなり、「はいよ、サポートの品」といって背負子に括り付けてあった特大のクーラーボックスの中から飛び出した一品目、競泳用のブーメランです。完全にブーメラン違いです。それと二品目、ブリサマリーナのサンスプレー。これ以上黒くなってどうすんだ!

ブーメラン・・・・
借してくれた人は白馬のガラス屋さん、らしい・・・
すごく使い込まれていました、擦れ擦れ・・・

僕たちも前夜のテントがびしょ濡れだったため、ここで干します。そして足首を捻挫から守ってくれている、ニューハレのエックステープも完全にはがれていて、ここで貼りなおします。先にそれだけやらせてもらって、じっくりと店長のサービスを受けることに。

まず出てきたのは、キンキンに冷えた炭酸水とサイダー。炭酸は僕が一番欲していたもの。さすが!それからウインナーパンとハンバーガー。これは事前にリクエストした一品。それから体調を整えるためのベスパのプロポリC。これも重要アイテム。完璧です。そしてここからがあんぱん店長の腕の見せ所なんですが、流しそうめん~。と言いたいところだが、流しはない、そうめん~。流しを試みたらしいが、数mの竹が邪魔すぎて、出だし少ししたところでおいてきたらしい。ちなみに器は陶器のもので、箸も蕎麦屋で出てくる家庭用の箸。しかもネギとミョウガの薬味付き。つゆもキンキンに冷えてます。すべてキンキン!そしてさらに、もろきゅうときゅうちゃん漬け。これは前泊でお世話になった八方の丸石旅館からの差し入れ。もちろん冷え冷え。最後にスイカ!出てくると思いきや、こちらは重すぎて、これ持っていったら約束の時間に間に合わないという自己判断のもと、登り始めてすぐのところにデポ。残念!なんだかんだで一時間お世話になっちゃいました。楽しかったなぁ。ありがとう江口!!最高でした。

宝箱
そういうことであれば、流しそうめんしたかったな~(笑)
でも陶器の器で食べるそうめんうますぎる!

ここにもう少しとどまり、話をしたかったが、先に進む。ここからもなかなかハードです。七倉岳から先も、尖った岩の多い足場の悪いトレイルが続き、集中力が必要です。人も少なくちょっと寂しい。北葛岳はすぐ着いた。そのあとの乗越もすぐ着いた。その先の登り返しの岩場は鎖がついている。ここは蓮華岳への登りだ。進んでいる。蓮華岳では武部カメラマンが待っている。コマクサの群生と共にお迎えしてくれて、あっという間に蓮華岳に登頂できた。それにしてもすごいコマクサだったなぁ。

蓮華への登り返し
意外とゴツゴツ
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
きれいすぎて、足が止まりますね
©takebe doryu

ここからは針ノ木までなだらかなガレ場の道程。快適だ。少しガスも出てきて、ほどなくすると針ノ木小屋へ到着。ここは扇沢から登る登山者が多く、かなりたくさんの人がいました。前日の槍ヶ岳山荘以来のにぎやかさだ。この先はしばらく水場もないので補給。ザックが重たい・・・。サムズのプロテインも補給。昨年からロングトレイルには動きながらプロテインとっています。調子いいんです。

蓮華岳
©takebe doryu
とにかく補給!
©takebe doryu

高校以来の針ノ木岳へ。たしかあの時は高校一年生。夜、空を見上げて「UFOだ~」とか言って興奮していたのを思い出す。今思えば、あれはただの衛星か、飛行機だったと思う。。。はい。

針ノ木を目指す!
©takebe doryu

まだまだガレガレの道が続く。夕方に近づく。ガスが出ている。ここからもいくつかのピークを越えていく。スバリ岳へは数キロと案内があるが、なかなか到着しなかったなぁ。ガスに巻かれていたので山も見えず、距離感も全くなし。続いて赤沢岳。ついに陽が落ちる。ここで軌跡が!ガスが晴れて、夕陽がみえるじゃあないですか!めちゃくちゃきれい!そしてここでやりました。ダンスです。BTSの歌に合わせて二人で踊ります。この映像は将悟さんが持っているはずですが。

この区間、地味にガレ場が続きます
©takebe doryu
きれいな夕陽でした。ありがとうございました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして、ここで確信、やっぱりチケットの効果出てますね。チケット?ゴミのことです。ゴミは幸福のチケット。たくさん拾うといいことが起こるんですね。だから僕たちは初日からチケット集め。今回もいいこと起きましたね。

そのあとは冷池をめざしてひたすらに進みましたが、二人とも疲れてしまい手前の種池で休憩して明日に備えました。この日も内容の濃い一日でした。

行動時間 18時間52分 移動距離41.93㎞ 3965mD+

yamamoto