行けるのか?行けないのか?
唐松岳山頂で藤巻君の衝撃の電話を受けて、僕たちは、、、、
「むむむ」「まじか・・」「どうする・・?」「そこ通れないと先へ進めないよね」「ルート変更?」「行ってだめなら戻るか」
短時間でいろいろと議論したが、藤巻君から「情報が定かでない」ということで、藤巻君本人が現地に一度確認に行ってくれるということになり、僕たちも唐松山荘から欅平を目指して進むことにした。「行ってだめなら戻ろう」という選択にした。
まさか初日前半にして、この旅が中断するのか?!だめなら唐松山荘に戻るか、最悪は欅平から宇奈月に降りて、もう一度白馬に戻り仕切り直しか。不安も残ったが、なるようにしかならない、と思い、いろいろ考えずに連絡を待つことにした。
歩き始めると、崩落のことをを考えるより、祖母谷温泉へのルートが意外にも簡単ではないことに僕たちは笑った。下り始めてすぐに、斜度のある雪渓のトラバースがあったが、ここはザクザクだったのでピッケルで足場を切ってクリア。その先は左側が割と切り立った稜線。さらにその先に山が!下るという気持ちで進んでいたので、登り返しは少しだろうという意識。けれど、しばらく登っても全く下る気配なし。どのくらい登ったかわからないけど、結構汗だくになりやっとの思いで山頂到着。その名は「餓鬼山」勉強不足で完全にノーマークだったのでちょっと疲れましたね。途中で水場がありということで、行ってみると、大きな川。これ雨降ったらだめだね、と二人で苦笑い。一人先客がいて、お湯を沸かしていた。
そのころ、藤巻君から連絡が入り、仮復旧されていて通過できるとのことで、うれしくなっちゃいましたね。祖母谷温泉を通過する。とてもいい雰囲気で、今度改めてゆっくりと訪れてみたい場所だ。白馬岳方面からのルートとの合流地点を通過し、欅平へ。ここはさらに観光地だった。宇奈月から来たサンダルのおにいさん、おねえさんがたくさん。
駅の水道で水を汲んでいると、ビジターセンターのユニフォームを着たおじさんが、「仲間のカメラマンが水平歩道で待っているぞ」と声をかけてくれました。宇奈月への最終電車は16:45くらい。撮影場所である水平歩道大太鼓付近からは速足でも一時間以上はかかるということで、電車下山をしなければならない藤巻君のタイムリミットは15:30。(撮影15分計算!)僕たちはそれを目指してできるだけペースを上げて進む。しかし想像以上に道は長く、結局15:50頃に藤巻君と合流。
第一声は「ごめ~ん!」この時点で彼は電車乗り遅れ確定。と同時に祖母谷温泉の宿泊を予約。大変申し訳ございません。(あとで聞いた話では、とてもよい温泉だったということです。)藤巻君は結局、偵察と撮影で水平歩道を2往復していて、やはりただのカメラマンではなく重大なサポート業務も行ってくれる、サポートカメラマン?でした。
感謝と敬意を表します。しかもワッサー(長野県北信特産品、桃とネクタリンが交配されたもの)までいただいてしまいました。信州生まれの藤巻君と言えば、ワッサーなのである。いつも本当にありがとう。
雨がざぁーっと降ってきたが、ちょうどくりぬかれた岩の中にいて、雨具は使わずに済んだ。ラッキー。雨はすぐに上がり、素晴らしい撮影を終え、それぞれの道へ。
僕たちは仮復旧された崩落地帯をさっと抜けて、先を急いだ。現場は岩がはがれていましたが、かなりきれいに修復されていました。いや~本当に助かりました。ありがとうございます。「黒部にけがなし」とは有名な言葉のようだが、確かに一歩間違えれば、怪我では済まされず、死に直結する場所だらけ。本当は池の平小屋まで行く予定で計画していたが、疲労もあったのでだいぶ手前だが阿曽原温泉で休むことにした。
阿曽原の小屋番の佐々木さんは山の男っていう感じで、白馬駅から来たと伝えると、「ごくろうさん、ごくろうさん」と何度も僕たちをねぎらってくれた。とてもうれしい言葉に僕たちの疲れも吹き飛んだ。着いてすぐに将悟さんがお湯を沸かしてくれ、ノンカフェインのカフェオレとみそ汁をいただいた。僕は持っていたおにぎりを食べた。
そしてここのお楽しみは、なんといっても温泉!テント場から歩いて5分下ったところにある露天風呂はもう何も言うことないくらい「最高」だった。
暗くなるまで入って、体が冷えないようにテントに潜り込んだ。荷物の整理、明日のルートや時間など確認して早めに就寝態勢へ。テントが小さいのか、熊と猿の寝相が悪いのか、肩をぶつけ合いながらのお休みでした。
1日目 15時間2分 60.22㎞ 3990mD+
2日目はいよいよ、劔岳、北方稜線へ。朝も早そうです。
つづく・・・(やっと1日目終了です。2日目からはとばします)
yamamoto
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