Tomomi Kuwahara
ニセコは面白い人がたくさんいて山は広くて
まだスノーボードという物がほとんど知られていない頃に、スキー雑誌にスノーボーダーの写真を見つけて衝撃を受け、子供の頃に家の前でスケートボードをしたようにスノーボードを毎日したいと思って北海道に移り住んだ。
九州で生まれて西日本から出た事がないような私がいきなりの北海道ライフ。それはそれは極寒すぎて驚きました。
その前の年にスキーをしたのが初めてのスノースポーツ。
そんなわけでスノーボードに、ワックスをかけることも知らなくて2ヶ月もするとボードがささくれだらけになってもなんで滑らないんだ??とただ不思議に思っていた。ゴーグルの快適さも知らなかったので、見た目が変だなーと思ってそのシーズンはサングラスだけで過ごした。雪は目に入るしスピードが出ると目が痛くて開けられない。しかも昼間に使ってるサングラスだからナイターは暗くてよく見えない(笑)。
こんなに何も知らないで良く過ごせたなと思うけど、今ではゴーグルなしでは滑れないし、走らないボードは嫌だし、寒いのも勘弁して欲しいと言う贅沢な人間になってしまった。いや、真面目にスノースポーツをしてると当たり前の事かもしれない。
特にバックカントリーでは見えないのは命取りだし、汗だくも危険。そして走らないボードじゃ意味がない!
必要不可欠な大事な道具達
という訳で、ただの贅沢ではなく必要不可欠な大事な道具達。それをいくつかご紹介します。まずはアウターウエアー。NORRONAといえばlofoten。バックカントリーに行く時は機能性重視、そしてウエアーのカラーも発色がいいものを選びます。その点、lofotenは間違いない安心のウエアーです。
フリーライディングに最適
tamok Gore-Tex Jacket
そしてゲレンデフリーランなら tamok がお気に入り。フリースタイルスキーもそうだと思うけどスノーボードってひねる動きが多いのでジャストフィットなウエアよりも少しゆったりしたシルエットの方が動きやすいんです。
シーズン中「SHEESA CAMP」としてプライベートレッスンやキャンプも開催しているのでその時にはたくさん重ね着してあたたかくして滑ってます。そんな時に絶対外せないのがインサレーション。
北海道ならほぼ一年中活躍
falketind PrimaLoft60 Jacket
これはベースレイヤーの上に薄いフリースなどを着てその上に重ねます。アウターだけでは風の強い日に冷気を感じるので、このインサレーションが、かかせません。しかも北海道ならほぼ一年中、使用します。普段の生活でもちょっと出かける時に軽く羽織れるし、北海道は夏でも夜は涼しいのでサーフィンに行ってキャンプって時にも大活躍です。
下にはPermanent UnionのScapa Pants。これは滑る時にも重宝しますがロッジなどでもそのまま履いていられるので旅にも便利です。どちらも動きやすくて暖かいのが大事なので薄すぎず厚すぎず、です。
フリーランではもちろん、ハイクアップの時にもおすすめ
lyngen Powerstretch Pro Hoodie
これはワッフル状の生地のミッドレイヤーでストレッチ性が抜群。しかも汗をかいてもワッフル生地が通気してくれてるようですごく快適なんです。だからいろんなシチュエーションで重宝しています。見た目は普通のフーディーですが、実はフェイスマスクが一体化されていて必要な時にサッとだして使える優れもの。山では尾根に出ると強風だったりって事もよくあるので、いちいちザックを下ろしてフェイスマスクやネックチューブを出すより手っ取り早くて本当に便利です。
コンパクトなシルエットで女性にもオススメ
HESTRA 3-FINGER GLOVE
フリーランの時もレッスンの時も3-FINGERが、お気に入りです。特にレッスンの時はビンディングの調整をする事も多いので少しでもグローブを外さずに作業ができることが大事です。31472 FALL LINE 3-FINGERは、手首周りが細くてどんなウエアにも袖の中に入れやすくフィットするコンパクトなシルエットで女性にもオススメ。さらに寒いと思う日なら30872 3-FINGER FULL LETHERを。余談ですが、北海道ではグローブをつけるではなく「履く」って言うんですよ。「靴を履く」と一緒です。「グローブを履く」です。なんででしょうね?
自由に動かせるストレスフリーなボード
ボードは、GENTEMSTICKのTRINITYをメインに乗っています。私の3度目のシグネチャーボードで、レディーズライダーがある程度大きな斜面を滑る事も想定して作りました。ゲレンデカービングもツリーランも快適に乗れるある意味自分の足のように自由に動かせるストレスフリーなボードです。
テールが割れてる形状のボードで女性の為に作られたボードは、日本だけではなく世界中を探してもあまりない貴重なボードだと思います。今シーズンで8シーズン目になり、たくさんのユーザーさんの声から少しやわらかいフレックスのTRINITYも誕生。脚力に自信がない方でも取り回しが簡単なソフトフレックスは、ゲレンデメインの方にも是非試してほしい一本です。
何本も何本も新雪の感覚を味わうように滑り続けた
GENTEMに乗るきっかけはスノーボードを始めた年に遡ります。最初に北海道に来たのが1990年2月。サホロのホテルで働き、時間の許す限り滑り続けた。4月になるとスキー場のシーズンが終わりニセコはゴールデンウィークまで滑れると聞きすぐにニセコに移った。
ニセコは面白い人がたくさんいて、山は広くて雪はまだまだたっぷりあって驚いた。ゴールデンウィーク直前の4月末に大雪が降ったことがあった。春雪でコブだらけの第四リフト下の斜面が底当たりなしの面ツルパウダーになっていて、しかも滑っていたのは私を含む3人だけ。何本も何本も新雪の感覚を味わうように滑り続けた。
そしてその時に滑っていた一人が、GENTEMSTICKの玉井太朗さんだった。スノーボードに出会い、ニセコに出会い、太朗さんに出会ったこの数ヶ月が、自分の人生の方向を決定したと言っても過言ではないと思う。
それから毎年ニセコで冬を過ごし数年後に、JSBAのプロになった。ハーフパイプでプロになったけれどプロトーナメントには一回しか出ないでアラスカに行き、エクストリームの大会「KING OF THE HILL」に出場したり、納得出来るライディングをしたくてアラスカに通い続けた。
数年間の間が空き、2002年に数年ぶりにアラスカに行くためにスポンサーを探していた時、初めて電話したのがフルマークスで、対応してくれたのは社長の若山さんだった。「アラスカに行きたいからお金を出してくれるスポンサーを探している」と単刀直入にお願いして快諾してくれた。それがご縁で今もサポートしてもらっている。
プライベートレッスン開催
スノーボードを教えていて思うのは「技術が上がれば味わえる感覚は増える」だからスノーボードの楽しさは、向上しようと思えば永遠に続くものだと思う。そのお役に立てるのが嬉しい。そしてキャンプは同じ趣味を持つ人との出会いの場になっていて私もたくさんの素敵な人に出会えたし、参加者同士が仲良くなっているのが何よりも嬉しいです。
さて、すっかり長くなってしまいましたが道具の準備をしながらワクワクするこの時期。我が家では薪を運んだりタイヤ交換したりと、本格的な冬仕度が始まります。
羊蹄山のピークも白くなりニセコの我が家では夕方になると薪ストーブに火を入れるのが当たり前になってきました。
桑原シーサー 知美
Tomomi Kuwahara
★★★★★
次回は、尾瀬の至仏山を滑り、山の魅力に引き込まれ、手つかずの自然が未だ数多く、冬季は大量の降雪がある群馬県最奥の地、KATASHINA MOUNTAINをベースに山ライフスタイルを提案する片柳 圭介 氏の登場です。
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