Active Insulation
NORRØNAでは、状況や用途に応じて選べるようさまざまなアクティブインサレーションを用意しています。一見、似ているように見えて、コンセプトも素材の使い方も違うウェアばかり。ここでは季節やアクティビティに応じて、ご自身の目的に合った1着を選べるようご紹介していきます。
NORRØNAのアクティブインサレーション
ここ数年、「蒸れない保温着」としてアウトドアシーンで注目を集めるアクティブインサレーションですが、現在NORRØNAでは状況や用途に応じて選べる10種類のモデルが開発され、これはマーケット随一ともいえるラインナップです。
なぜNORRØNAではこれだけ多数の選択肢を揃えているのでしょうか。それは、北極圏に近いノルウェー生まれのアウトドアブランドという点に起因します。
北欧には生活圏に隣接したフィールドから、北極圏の過酷な自然環境に至るまで、多彩なアウトドアフィールドが身近に存在します。そこで展開されるさまざまなアクティビティごとに、求められる機能性は違っていて当たり前。
そのため、NORRØNAのアクティブインサレーションは、一見、似ているように見えても、コンセプトも素材の使い方も違うウェアばかりなのです。
これから始まるスノーシーズンから、通年のアウトドアまで、その機能性を最大限に発揮させるには、それぞれの特徴やスペックを可能な限り理解することが早道です。
アクティブインサレーションとは?
肌寒い季節に行動するには、暖かなウェアが必要です。しかし、ダウンやハイロフトフリースのような保温力の高いアイテムを着て行動すると、かえって汗をかいたり、暑すぎてウェア内が蒸れることがよくあります。寒い季節とはいえ、行動するとそれなりに体温が上昇してしまうので、暖かいウェアを着用し続けることはオーバーヒートの原因となるのです。
そこで誕生したのがアクティブインサレーション。「動的保温着」とも訳されますが、もう少しかみ砕くと、「行動中の体温に則した」あるいは「行動による体温上昇を想定した」保温着(インサレーション)です。それはどういう仕組みかというと、ただ保温するだけでなく、通気性があることで余分な熱を溜めないという特殊な素材を使用しています。つまり、保温性と通気性のバランス良い両立です。
行動中に寒さを覚えない安定した保温性がありつつも、同時にウェア内の熱気を適度に逃がしてくれる通気性があること。この保温性と通気性をバランスさせるという発想は、従来の防寒着にはなかったものです。さらに、素材自体に高い吸湿拡散性があり、汗をかいてもドライな着心地をキープしてくれます。
注意しておきたいのは、アクティブインサレーションは万能な保温着ではないということ。着ただけで十分に暖かいウェアというわけではなく、あくまで行動中ということを前提にしている保温力のため、休息などで静止しているときや、強風下の稜線などでは、保温性が物足りなくなることがあります。したがって、季節や天候のコンディションによってはアウターシェルや別の保温着とセットで考える必要があります。
秋から冬、そして残雪期の春にかけて天候がいい日の行動着として。あるいは、悪天候のフィールドや雪山ではシェルの下に着るミッドレイヤーとして着用することが可能で、脱ぎ着による体温調整の回数を減らしてくれます。「寒すぎず暑すぎない」アクティブインサレーションは、そうした肌寒い環境において快適に着続けることができる、アウトドアアクティビティに欠かせないアイテムなのです。
「通気と保温」をバランスさせる2つの素材
アクティブインサレーションの「通気保温と保温の両立」という機能を実現するためには、通気性を備えた保温素材が不可欠です。NORRØNAのアクティブインサレーションでは、タイプの違う2つの高機能素材を使い分けています。それらを使うウェアには、素材の厚みや量、採用する箇所の違いや、他の素材とのハイブリッドといったバリエーションがあり、季節やアクティビティ、体感温度の個人差に応じて選ぶことができます。
※アクティブインサレーション素材は極細の化学繊維のため、北欧では洗濯の際にはウォッシングバッグ(マイクロプラスチック流出防止用洗濯ネット)の使用が一般的になっています。
Polartec® Alpha® Direct
ポーラテック社が開発したアクティブインサレーション素材。丈夫なメッシュ状コアにポリエステル綿を点々と配したもので、ポリエステル綿にデッドエアを溜めて保温し、綿と綿の隙間のメッシュが熱気と湿気を換気します。ポリエステル綿のウィック効果で吸汗速乾性に優れますが、素材自体は水を含まない疎水性素材のため拡散乾燥性が高く、常にドライな着心地を保ちます。
一般的には表地と裏地のある中綿素材として使われますが、NORRØNAでは表地や裏地を省いた2タイプの「アルファ ダイレクト」を採用。ナイロンやポリエステルなどの生地に覆われていないぶん、さらに強力な通気性を発揮します。
密度の違いや毛足の長さで120(120g/㎡)、90(90g/㎡)、60(60g/㎡)などのバリエーションがあり、それぞれ保温力が異なります。いずれも非常にやわらかな着心地で、体の動きを損ないません。
Teijin Octa®
テイジンが開発したアクティブインサレーション素材。穴の空いた中空ポリエステル糸の外側に、8本の突起を放射線状に配列した異型断面を持つ繊維。素材名の「オクタ」は、断面が8本の突起を持つ型から「オクトパス=タコ」に由来しています。
重量は従来のポリエステル糸の2分の1。軽量性、吸汗速乾性、保温性などさまざまな機能を併せ持ちます。この中空糸をかさ高のある大柄のニットに編むことで、デッドエアを溜めて保温しつつ、通気性を両立させています。
オクタもアルファダイレクトと同様に、裏地を省いてオクタのニットが露出する形が一般的で、そのぶん、高い通気性を発揮します。また、繊維自体は疎水性のため水分を通しやすく、汗をかいてもサラリとした着心地です。
ボディマッピングとはなにか?
NORRØNAのアクティブインサレーションは、アルファダイレクトやオクタといった素材をメインにしつつ、機能性の違う複数の素材を使っています。保温性、通気性、柔軟性、吸汗発散性など、部位ごとに違う必要な機能を適材適所に配置する。これがボディマッピングです。
ボディマッピングのメリットは、さまざまに違うコンディションやアクティビティ、運動量の違い、暑がりや寒がりといった個人差に対応するため、よりきめ細かい仕様を設定でき、選択肢の多い製品ラインナップが可能になります。
機能の異なる3種類の素材を適材適所に配置した代表例として「falketind Alpha90 insulated Zip Hood」を説明します。厳冬期には快適なミッドレイヤーとして機能し、バックカントリーでのハイクアップ、秋や春の登山にはアウター(行動着)としても活躍するアクティブインサレーションです。
- 1.「Polartec® Alpha® Direct 90」 換気と保温を両立
- 汗をかきやすく、ムレの原因となる背中・腕の外側・腹部には、通気性と保温性のバランスに優れたアルファダイレクト素材で、湿気を含んだ熱気を排出してクールダウン。
- 2.「PrimaLoft® Active+」 保温にフォーカス
- 内臓をカバーする腹部上部から胸部、首、肩周りといった、もっとも保温性を必要とする部位には、保温性に定評あるプリマロフトのアクティブインサレーション素材を配置。
- 3.「Polartec® Power Grid™」 体の動きと吸汗速乾性
- フード、腰回り、脇下からサイドパネル、腕の内側には、高いストレッチ性を持ち、吸汗速乾性と通気性にも優れるパワーグリッド素材を採用。上半身の動きを損なわず、ストレスない着心地を実現。
NORRØNA
Active Insulation Collection
- CREDIT
- illustration:Kazutaka Tsugaoka text:Chikara Terakura