The fight against microplastics

海洋生物への悪影響や生態系の破壊など、海へ流出するマイクロプラスチックは世界的に増加し続けている環境問題です。Houdiniはこの深刻な問題にどのように取り組んでいるのか、さらにその対策やさまざまなソリューションについて紹介します。そして私たちができることについて一緒に考えてみましょう。

Houdiniは環境への負荷を可能なかぎり少なくするという使命に基づいた製品開発を行なっています。私たちはこれまでにさまざまなことを成し遂げてきましたが、それでも現状はまだゴールから程遠い位置にあるのです。そこで現在、ビジネスにおけるエコシステム(業界や製品、サービスなどが相互作用する関係の下で成立する大きな収益構造)に依存している社会にプラスの効果をもたらすことのできる、再生型ビジネスへ向けて変革を進めています。そのため、私たちはすべての製品をサステイナビリティチェックリストに照らし合わせ、その生産が持続可能性の観点から妥当であるかを測定しています。マイクロプラスチック問題では、特に生産者と消費者が手を携えて立ち向かう必要があるため、この取り組みの裏側を伝えることにしました。

Microplastics – then and now

この数年、私たちはマイクロプラスチックに関する研究結果を注視してきました。また、さまざまなサプライヤーとも話をしてきましたが、最終的には繊維や生地の観点からの議論のみになってしまい、危機感が募るばかりでした。しかし現在、私たちと同様の方向性を目指して取り組む企業がいくつかあることを知り、これはとても喜ばしいことです。ただ残念ながら、すべてのアパレル企業がこの問題を重要視しているわけではない、という事実は変わりません。

“衣類は洗濯するたびに、さまざまな繊維が抜け落ちます”

マイクロプラスチックは、プラスチック製品はもちろん、タイヤ、化粧品、歯磨き粉などさまざまな製品の成分に由来する、5㎜以下の微細なプラスチック粒子です。衣類に関して言えば、使用や廃棄だけでなく、洗濯によっても生地からプラスチック繊維が流出しています。そして、その繊維に含まれるプラスチックは排水溝、下水、川を通じて海に流れ出し、最終的には海洋生物の体内に蓄積されるのです。洗濯により繊維が抜け落ちることは避けられませんが、衣類からのマイクロプラスチックの流出量に影響するいくつかの要因があります。

・繊維の品質と製造の精度 – Houdiniは抜け落ちが少ない高品質の繊維と精密な製造方法のみを採用しています。
・繊維の混紡 – Houdini製品に天然繊維と合成繊維の混紡素材は決して使用しません。マイクロプラスチックの流出を増やし、リサイクルを困難にするためです。
・衣類の使用方法と洗濯方法。
・着古した衣類の処理方法 – リサイクルのため、不要になった製品はHoudiniでの回収を推奨しています。こうすることで、私たちは生産者としての責任を負い、合成物が自然界に流出することを防ぎます。

近年では、オーガニックかつ再生可能であり、さらに生分解性をもつ素材を使用した製品開発も行なっています。また同様に、衣類の裁断や構成を見直すことで、繊維の抜け落ちを抑えることができるようになりました。マイクロプラスチックの流出を防ぐためのこうした開発や改善は、急速に成長し続けています。

Towards zero release of microplastics

Houdiniは、生地や繊維の観点からマイクロプラスチック問題の根源的な解決を目的とした多くの調査・研究プロジェクトに参加しています。さらにこれまでの間、マイクロプラスチックの影響を最小限に抑えるためのさまざまな対策を講じてきました。

・Houdiniは、代替素材を開発して繊維の抜け落ちをなくすために、複数の研究および技術革新プロジェクトに参加しています。生分解性をもつプリマロフトを使用した新しいコンセプトのジャケットである“The Alchemist”や、2019年春に発売された“Power Air Houdi”、2020年秋の“Mono Air Houdi”はこうしたプロジェクトから誕生したものです。
・マイクロプラスチック問題の解決に不可欠な技術革新のペースを加速させるため、多様な分野や部門間におけるコラボレーションを開始しました。
・GuppyFriendと協力し、繊維の流出を防ぐ洗濯バッグを販売しています。このウォッシングバッグは店頭およびオンラインでご購入いただけます。(※このグッピーフレンド・ウォッシングバッグの販売はスウェーデン国内のみでの取り組みとなります)
・洗濯によるマイクロプラスチックの流出を抑えるための解決策として、さまざまなフィルターをテストしています。
・いくつかの改善方法が見つかった場合、Houdiniは最も環境に負荷を与えない代替手段を選択します。このポリシーは厳格かつ揺るぎないものであり、決して妥協することはありません。

Use, reuse, recycle. And let air do the dirty work

自然の力を過小評価せずに信用してください。私たちの多くはほぼ毎日のように、頻繁に洗濯をしますが、実は衣類を吊るして風や日光に当てるだけでも十分に効果があります。水を使う洗濯の代わりにきれいな空気に任せることで、製品をより長く良い状態に保つこともできるのです。また、Houdini製品は高品質な生地とその製造方法により、マイクロプラスチックをほとんど流出しません。これは、新品の衣類と、何年にもわたって着用し何度も洗濯をした衣類の重量を比較した分析結果からも証明されています。両者の重量差は非常に小さく、はるかに早いペースで抜け落ちるファストファッションの合成繊維とは対照的な結果となりました。

“サステイナブルな製品を使用することだけが解決策ではありません”

それでは消費者がマイクロプラスチック問題についてできることは何があるでしょうか。洗濯頻度の減少、繊維の抜け落ちが少ない高品質な衣類の選択、リユースやリサイクルといった衣類の循環。こうした行動がマイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぎます。Houdiniでは、消費者が参加できる取り組みとしてリサイクルや再利用、中古品の販売、レンタルのサービスを提供しており、これは通常の販売よりも優先的な事項です。いくらHoudiniが製品の循環や持続可能性について時間を費やしたとしても、エンドユーザーが衣服をゴミとして廃棄したり、洗濯しすぎたりしてしまったら、そうした取り組みも意味をなさなくなってしまいます。消費者として倫理的な買い物をするだけでなく、製品を最後まで見届ける、そんなスマートな消費を心がけてください。こうしたことを簡単に行えるようにするため、Houdiniでは店舗にリサイクル用の回収ボックスを設置しています。また、まだ着ることのできる衣類を無駄にしないよう修理サービスも受け付けています。このような消費者の行動と、Houdiniでの素材や生産における進化が結びつけば、マイクロプラスチック問題のために歩んできた長い道のりの先にゴールが見えてくるかもしれません。今はまだポジティブな成果は表に現れていないかもしれませんが、それはすぐそこにあるはずです。

Alternative products in the Houdini range

マイクロプラスチックの流出を制限またはゼロにする製品には、さまざまな選択肢があります。そのなかでも代表的な製品のひとつは、抜け落ちやすい合成繊維を包み込んでカプセル化した代替合成生地によるもの。もうひとつは、完全にオーガニックかつ生分解性をもつ素材を生地に使用したものです。ここで素材の循環性を確実にするために、合成繊維とウールを混ぜることはありません。このふたつの優れた代替案は、表地や裏地に合成繊維が露出していないフリースの“Mono Air Houdi”と、100%メリノウール製のミッドレイヤーである“Wooler Houdi”です。

より多くの懸念は、より多くの改善をもたらします。Houdiniがマイクロプラスチック問題に対して新たにどのような解決策を見出していくか、今後のさらなる取り組みをご注目ください。


※文章中の不用品回収、中古販売、レンタルはスウェーデン国内のみでの施策になります。