小さなクライミング・コミュニティのガレージブランドからスタートしたHoudiniが企業へと転身を遂げたのは1990年代初頭のことでした。以来、Houdiniは常に責任あるビジネスを心がけてきました。アウトドアを愛する者として大きな情熱を持ち、固い決意を掲げ、ときに不可能にも思える計画を立て、一つ一つ実行する。このビジネスをより良い方向に進ませるべく、数々のチャレンジに挑み、一切の妥協はありませんでした。この挑戦は私たちにとって心躍るものだったからです。
現代を生きる私たち。そして未来の世代のために掲げる目標は、多くの人が深く自然とつながることのできるよう、インスピレーションを授けること。自然と調和した、健康的で幸せなライフスタイルをもたらすこと。消費者それぞれに気づきを深めてもらい、美しい地球に豊かな社会を築くことです。この目標を実現するため、アウトドアでの活動をより充実したものにしてくれる最先端のプロダクトを提供し、そのための努力を惜しみません。自然を犠牲にするのではなく、自然と共生できるような革新的テクノロジーを追い求め、志を同じくする仲間たちと手を携えて新たなコミュニティを創造するのはこの目標のためなのです。
2016年末、Houdiniは自分たちが進むべき未来とそこへ至る道筋を描き出しました。このプランはHoudiniチームと、隣国ノルウェーのオスロ郊外にある自然保護区、ノールマルカで活動する数名の活動家により作成されたものです。ノルウェーでは今から半世紀前の1966年、登山家のニルス・ファールンドや、ディープエコロジーを提唱した哲学者、アルネ・ネスらのグループにより、革新的なマニフェスト「Stetind Declaration」が書かれています。これは、人類や現代社会は自然界とのつながりを深め、より調和を図ることの必要性を説いたもので、人間社会は速やかにその進路を改めるべき緊急性が明言されました。そして50年後の2016年、私たちは改めて議論を重ねたのです。未来にはさまざまな可能性やチャンスが残されていること、現代の地球環境を考えるに、もし私たちが何もアクションを起こさなかったら果たして未来はどんな姿になるのかということを。こうして私たちは未来への道筋と計画を立て、そして全力をもって取り組んでいくことを約束してノールマルカを後にしました。
私たちが製品に使用する資源は地球から借りたものであり、Houdiniは責任を持ってそれを管理し、地球と未来の子どもたちにより良い状態で返す責任があると考えています。よって、私たちは100%循環するビジネスとものづくりを心がけます。
・全製品を循環型にします。全製品がリサイクル素材もしくは生分解性素材から作られ、製品の寿命が尽きた際にはリサイクル可能もしくは土に還ります。
・海洋、土壌、空気中からの廃棄物を再生材料として資源化する取り組みを始めます。
・原材料の調達から製品の製造、流通に至るまで、製品にまつわるプロセスにおいて100%のトレーサビリティとその透明性を確立します。
・原材料の調達から製品の製造、流通に至るまで、製品にまつわるプロセスの100%が循環型になります。
・原油から製造されるバージンナイロンやバージンポリエステルのような、地球の資源を消費する繊維は一切使用しません。
・マイクロプラスチック汚染を含むすべての廃棄物の流れを、資源の流れへと変えます。
・製品に用いる繊維の少なくとも20%は海洋、土壌、空気中の再生可能な代替廃棄物を資源とする新たな再生繊維を使用します。
・製造の段階で用いられる染料や処理薬品の材料資源は循環型、もしくは持続可能な再生可能エネルギーに移行します。
・生産とリサイクルのためのプロセス全体で使用されるエネルギーの100%を、持続可能な再生可能エネルギーにシフトします。
・Houdiniのエコシステムはネット・ゼロを超えて自然と共生する再生システムを目指します。
「Stetind Declaration」の発表100周年と、2066年以降に向けたHoudiniロードマップの50周年を祝います。私たちは既存の持続不可能なシステムに別れを告げ、志を同じくする人々とともに新しいシステムを作り上げているはずです。私たちを突き動かす本質的な価値観は変わりません。つまり、より良いことを行い、一生懸命遊び、自分たちの限界を押しあげ、ビジネスにおいて新たな挑戦を楽しむこと。そうすることで自然、社会、経済、テクノロジーが調和の取れた関係を取り戻して機能し、生命が繁栄する新しい社会システムを実現した私たちの人生は、さらに意義深いものとなっていることでしょう。