Photography [Taiyo]
スキーとの出会い
滋賀県でアウトドアショップを経営していた父の影響で冬休みと春休み、年2回白馬へのスキー旅行が楽しみで仕方なかった。父は僕にスキーを教えることはなく、自由に滑らせてくれたおかげで右にしかターンすることができず、直下降して右にターン。直下降して右にターンを繰り返し滑っている、そばから見れば奇妙な子供。
サッカーに明け暮れた高校生活を終え、だらだらと過ごしていた日々に出会ったのがフリースタイルスキー。後ろ向きに滑ったり、飛んだり回ったり。今では当たり前の光景も当時は「こんなスキーがあったんや!!」と衝撃を受け、カナダのウィスラーへ渡ったのが24歳。渡った先のウィスラーで出会ったのは、大きな崖の上で途切れたシュプールが崖の下から続いていた衝撃的な風景。
「スキーってゲレンデだけを滑るんじゃないんや!!」
最高のパウダーでyeah!!
それからは、様々な地形や雪質を滑ることが楽しくなり、1週間は7日間、毎日休まず滑りつづける。ウィスラーは、北海道のように毎日パウダーが滑れる環境ではなく、2週間近く降雪がない日が続くのはざらで、2月に標高1000m付近まで雨、といったこともあった。カチコチのアイスバーンを滑り込んでいた記憶のほうが強く、ほんとはたくさん滑っていますが…最高のパウダーでyeah!!ってなった記憶は、5シーズンバム生活を続けたうちの数日だったような気もする。
時にはゲレンデに川が流れたり、風で倒れた木が迂回路を塞いでいた。久ぶりの降雪で一晩で30cm積った朝、喜んで斜面に飛び込んだら超湿雪!! 40°を超える急斜面でスピードがでず直滑降。そんなコンディションで毎日楽しく滑りつづけたおかげで、左にもなんとかターンできるようになった気がする。バム生活を30歳までつづけ、31歳のときに札幌へ移住し、イベントや映像撮影をメインにスキーの魅力を伝えるべく活動中。
手放せないマテリアル
使い続けるとともに味がでて、自分色に染まってくるのがHESTRAグローブ。オイルを塗りこみ、使い続けると革に風合いがでてくる。10年近く前のグローブもいまだに現役で使っている。オイルを塗りこみながら、グローブと滑った斜面やおもいでを思いかえすのが幸せな時間。保温力は新品のときよりは劣りますが、手に馴染む感覚と愛着がわき手放せないマテリアルのひとつ。
5年まえから着用
ゴーグル選択で重視しているポイントは、「クリアな視界」と「見た目」。見た目のかっこよさは重要で、オシャレなウェアーで着飾ってもゴーグルが、かっこよくなければウェアーが台無しになる。昨シーズンまで愛用していたのは、IRIS X NETレンズのモデル。平面レンズのスタイルが好きなのと、レンズのクオリティーが高くどんな天候でも視界がクリアIRIS X 以外の選択肢はなかった。
Fovea Clarity
NETレンズがラインナップから消えてしまった今シーズンは、Fovea Clarityを使用している。Foveaは、球面レンズタイプのゴーグルで、平面よりの球面タイプ。スタイルもかっこよく、Clarityレンズは雪面のコントラストがはっきり見え、オフピステを滑る僕には手放せないレンズ。レンズの内側や外側の雪をグローブや素手で拭いている人をよく見ます。せっかくのレンズが台無しになってしまうので、付属の袋で拭く、凍っている場合は、ウェアーの内部で温めて溶かしてから拭くことがオススメ。雪が入ってしまったゴーグルは、その日は使えないことがほとんどなので、スペアのゴーグルを持っていきましょう!!
今シーズンはたくさんの降雪に恵まれ、良い感じでシーズンが始まっています。事故や怪我のない良いシーズンを送り、シーズンオフには今シーズンのおもいでに浸りながらグローブの手入れをしましょう。
中西 太洋
Taiyo Nakanishi
★★★★★
冒険家・植村直巳の『青春を山に賭けて』を読みふけり、その姿に憧れて山岳の世界に入った。2000年23歳のときに初めて仲間たちと海外の山を滑ったのがデナリだった。次回は、自分にしか成し得ない冒険を追い求め、未知とロマンある「“偉大なる”冒険のあとさき」は記憶に新しく、世界中の山を滑ってきたマウンテンスキーヤー 佐々木 大輔氏の登場です。
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